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金属アレルギー概論

2011年05月31日

アレルギーはタンパク質に対し起こるものなので、金属アレルギーは金属が直接に体に作用をしてアレルギーを起こすわけではありません。
金属から溶け出した(ちなみに体に接触した金属は微量ながら少しづつ溶け出します)金属イオンが、人体が本来持つタンパク質と結合し、アレルギーの元となるアレルゲンとなりアレルギー症状(Ⅳ型アレルギー)を引き起こします。

金属との接触部に起こる接触皮膚炎(部位によっては粘膜炎)が代表的であり、また、金属イオンが血流によって全身に運ばれると全身性皮膚炎を起こすこともあります。

アレルギーを起こしやすい金属としてはパラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、銅があります。
一方、金・白金・チタンはアレルギーを起こしにくいと言われています。

歯科用金属による金属アレルギーの報告が増加傾向にあります。
この場合、掌蹠膿疱症(手足のひらに湿疹のようなものができる)や扁平苔癬(口の中にできる皮膚炎のようなもの)、次いで接触性皮膚炎が多いと報告されています。
症状や検査結果により、歯科用金属が原因であると判断された場合、外用薬や内服薬の使用では治癒しないため、金属抗原除去などの治療が有効です。

診断は、パッチテストが一般的に行われます。これは、皮膚に金属をしばらく密着させてアレルギーが生じるか、調べる検査であります。しかし、パッチテストでは判明しない(陰性である)ことも多いので、正確性は低いと言われています。
最終的には、症状を見ながら総合的に診断いたします。

歯科金属アレルギーと診断された場合には、原因となる金属(ブリッジなどに使用)を除去するのが根本解決であります。金属の代わりにセラミックを使うと、症状は軽減し場合によっては完治することがあります。

■Ⅳ型アレルギーとは?
Ⅳ型アレルギーは、抗体を持っているかいないかに関わらず、アレルゲンとT細胞(白血球の一種)との反応によって産出される物質(リンホカインなど)が原因によりもたらされる組織障害です。
緩除に症状が出てくるので、遅延型アレルギーとも言われています。