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長期症例からインプラントを考える

2011年07月29日

過日、世界的に著名なインプラント治療の第一人者の講演を聞きました。
その内容を抜粋いたします。

オッセオインテグレーション(インプラントと顎の骨の結合)を基本とする近代インプラント治療が我が国に根づいてから28年が経過しました。最近は長所のみではなく、マイナスや問題点も取り上げるようになりました。
治療法のメリットだけが強調されるのではなく、正しく短所も周知されることは、患者さんにとって歓迎すべきことだあると思います。

10年、20年あるいはそれ以上にわたり安定して使用できるインプラントですが近年では長期間の安定よりも早期のインテグレーションを獲得することや、機能(咀嚼能力)よりも審美(見た目の美しさ)に重点が置かれすぎている傾向があります。
それにより、短期(概ね5年以内)の使用には十分に耐え得りますが、長期になるとインプラントが脱落する危険性が高くなるということです。

インプラント表面にハイドロキシアパタイト(歯や骨を構成する成分)をコーティングしてあるインプラントが市場の割合を増しつつあります。
確かに、骨としっかりと早くインテグレーションしますが、実験のデータでは、全ての種類ではありませんが、インプラントの表面からハイドロキシアパタイトが剥がれている物も見受けられます。
製造技術や品質管理の難しさも指摘されています。

インプラント埋入するための床を形成する時にドリルを使用します。
切削時に顎の骨が火傷しないように、生理的食塩水(体の浸透圧に合わせた水)を使って冷却しますが、ドリルの中から水を出す方法(内部注水)と、外からドリルに水を当てる方法(外部注水)があります。
最近は前者の方が主流になっていますが、冷却効率を考慮すると後者の方が優れていると、演者は指摘しています。

インプラントを快適に長期にわたり使用するには適切なフィクスチャー(顎の骨中に入る部分)使用機材、手術手技およびインプラント治療に対するコンセプトが要求されている事が理解できます。