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山科の記憶

2012年01月23日

過日、京都郊外で研修会があったので、少し足を伸ばして山科を散策しました。

この地は車や、新幹線で通過するだけだったのですが、周囲を山に囲まれた山科盆地は何か上品な雰囲気が静か流れており以前から何か惹かれるものがありました。
風情がある町並みは、古く江戸時代には忠臣蔵で有名な大石内蔵助の別宅があり、文豪、志賀直哉もかつて川沿いに居を構えておりました。彼の小説には、簡素な美しさと響きがあります。さすが美意識の高い彼は、やはりここに惹かれ住んだのでしょう。この頃1914年(大正3年)の思い出をもとに1926年(大正15年)に「山科の記憶」を著しました一節には「山科川の小さい流れについて来ると、月は高く、寒い風が刈田を渡って吹いた」と記されており、彼の文の中には日本語の美しい響きが凝集されています。

山科は、祇園の華やかとは違った日本の文化、伝統、美と奥ゆかしさをゆっくりと感じることができます。